歴史という教科を学ぶ中学生が、日本だけではなく世界の歩みをも平易に理解できるような教科書をつくるのは、専門家にも難しい作業です。
歴史を学ぶ意味は、私たちとちがう時代や地域に生きた人々に出会うことをとおして、自分自身を理解することにあります。それは必ずしも外国の人々とは限りません。日本列島の歴史を振り返っても、そこには今日の私たちからみても異質な、さまざまな文化や価値観をもった人々が生きていました。また日本列島に住む人々は、古代から周辺の東アジア世界の影響を深く受け、のちには欧米諸国を模範として近代化への道を歩みました。
自国のことしか知らない人は、その自国のこともじつはよく理解していない、といわれます。この教科書では、世界の歴史からみた日本の位置をわかりやすく説明するようにつとめました。
グローバル化の進んだ現在の世界は、地域紛争や格差の拡大、地球環境の破壊など、さまざまな問題に直面しています。世界がどのようにして今日のような姿になったのか、その諸問題がどのような背景から生じてきたのかを、この教科書からぜひ学びとって欲しいと願っています。