はじめての西洋ジェンダー史 家族史からグローバル・ヒストリーまで

価格
2,530円 (税込)
在庫: 在庫あり
解説: 著者が早稲田大学の教養科目としておこなう授業をもとに、家族史からグローバル・ヒストリーまでをあつかう入門書。
歴史における家族、女性性や男性性の変容、男女二元化のプロセス、身体的性差の認識の変化といったジェンダー・イシューに、歴史学がどのような問題意識をもってアプローチし解き明かしてきたかを、紐解いていく。
ISBN:
978-4-634-64095-5
著者: 弓削尚子 
刊行:
2021年11月
仕様: 四六  ・  304ページ
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目次:
はじめに

第一章 「古き良き大家族」は幻想 ――家族史
伝統的な家族への固執/「正当な家族」への疑問/歴史人口学のはじまり/民衆の家族を復元する/近世社会の家・夫婦・子ども/政治的・宗教的思惑での結婚/夫婦愛を前提としない夫婦/都市民や農民の夫婦関係/歴史における子ども/乳母の存在/捨て子の多さ/「小さい大人」/キリスト教徒にとっての結婚/近代社会の家族モデル/私的な領域としての「家庭」/ヘーゲルが説く近代家族/子どもへの愛情または母乳育児/近代家族モデルにおける女性像・男性像/二〇〇年ほどの歴史しかもたない家族モデル/「家族」の多様性

第二章 女性の歴史が歴史学を変える ――女性史
ウーマン・リブ運動と女性史/歴史における女性の不在・偏在/なぜジョゼフィーヌなのか/女性に歴史はあるのか/女性史が歴史学の一角を占める/女性史研究がもたらしたもの/史料の発掘・開拓/史料としての日記/女性像が投影された裁縫箱付きピアノ/医学の対象としてモノ化する産婦/「普通」「一般」「人間」は男性か――「人権宣言」と「女権宣言」/従来の歴史解釈の再考・修正・深化/女性に啓蒙主義はあったのか/エミールの妻としてのソフィー/樫の木に支えられる優美な蔦/正典批判と女性史研究の意義

第三章 女らしさ・男らしさは歴史的変数 ――ジェンダー史
女性史研究のつぎなるステージへ/ジェンダーとは何か/歴史研究にジェンダー概念を用いる三つの意義/ジェンダー史とは何か/英語圏以外のジェンダー史の成立/近世社会の異性装者たち/兵士になり、夫となったマリアとカタリーナ/異性装という「伝統」/フランス革命の「家族ロマンス」/国母は認めず、姉妹は家庭へ/兄弟愛という男たちの絆/近代社会におけるジェンダー秩序/歴史学全体に貫かれるジェンダー概念 
第四章 男女の身体はどうとらえられてきたか ――身体史
身体的性差もまたジェンダーである/歴史学の対象としての身体/近代医学の身体観から自由になる/ガレノスからディドロまで/ワンセックス・モデル/パレ『怪物と驚異』に描かれる性転換者/『百科全書』に描かれたインターセックス/骨格図にあらわれるジェンダー/絶対的性差の探究――ツーセックス・モデル/近代における男女の身体/オナニーの禁止あるいは性欲を制御する男性像/性欲のない女性像/(男性)医学者の権威とエロティックなまなざし

第五章 男はみな強いのか ――男性史
「男らしさ」の可変性/アメリカから始まったメンズ・リブ/男性たちのあいだにある力関係/男性史の成立/男性史研究の盛上り/西洋近代の「男らしさ」を相対化するために/カストラートあるいは前近代の権力者とジェンダー/モーツァルトを魅了した「神の声」の衰退/「近代の男らしさ」を支える装置/徴兵制の男性史的意味/男の試練としての決闘/決闘における「男らしさ」の意味/私的領域における男性/「近代の男らしさ」が行きつくところ/「同性愛」概念成立以前/ジェンダー秩序社会における「同性愛者」/男性同性愛者の迫害

第六章 「兵士であること」は「男であること」なのか ――「新しい軍事史」
軍隊は男のもの?、兵士は「男らしい」もの?/軍隊をめぐる認識の変化/「新しい軍事史」/ジェンダー史との融合/プロイセンの常備軍にみる近世の軍隊/評判の悪い軍人像/「戦わない男」/「軍隊に生きる女」あるいは「肝っ玉おっ母」/武器をとる女性兵士/「戦う男」と「銃後の女」の二元化/リスペクタブルな兵士モデルの創出/兵役拒否者の「男らしさ」/兵士のセクシュアリティあるいは性暴力/「兵士であること」は「男であること」なのか/女性を排除する近代の軍隊/クラウゼヴィッツの『戦争論』にあらわれるジェンダー/『戦争論』の翻訳にあらわれるジェンダー

第七章 西洋近代のジェンダーを脱構築する ――グローバル・ヒストリー
二十一世紀の幕開け/グローバルな時代の歴史学/グローバル・ヒストリーあるいは「新しい世界史」/「地球市民」とは誰か/アメリゴ・ヴェスプッチと「新世界」との出会い/植民地支配の「男らしさ」/「白人の責務」「文明化の使命」という大義/男性植民者のセクシュアリティ/植民地におけるヨーロッパ人女性/女性たちの植民地体験/帝国の「良き母」/植民地社会における「親密なるもの」/植民地支配を非西洋のジェンダーから考える/非西洋男性の「男らしさ」/非西洋における性の多様性への侵略/西洋と非西洋のアクション・リアクション・インターアクション

むすび
西洋ジェンダー史研究のこれから/「ポストモダン」への示唆/ジェンダーの歴史的構築性とアグノトロジー

図版出典