《イスラームを知る》11. 原理主義の終焉か ポスト・イスラーム主義論

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1,320円 (税込)
在庫: 在庫あり
解説: 2011年1月のチュニジアのジャスミン革命から現在にまで続くアラブ諸国の民主化運動「アラブの春」の原因を,1960年代に始まるイスラーム主義運動とそれ以降の動きから考える。
ISBN:
978-4-634-47471-0
シリーズ: イスラームを知る 11
著者: 私市正年 
刊行:
2012年4月
仕様: A5判  ・  124ページ
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目次:
「アラブの春」の衝撃と歴史的意義
第1章 イスラーム主義の支配
  宗教による近代性への挑戦
  ナショナリズムの後退 1960年代
  イスラーム主義者とマルクス主義者の主導権闘争 1970年代
  イスラーム主義の勝利 1980年代
  「伝道と宣教の集団(ジャマーア・アル・タブリーグアル・ダアワ)」
  イスラーム主義運動の絶頂 1989年
第2章 イスラーム主義運動の熱狂と挫折
  イスラーム主義運動の急進化
  イスラーム主義運動の栄光の地 - エジプト
  急進派の台頭と主導権掌握
  都市貧困青年層の支配とイスラーム団の急進化
  テロリズムの悪循環
  政治的イスラームの失敗
  脱植民地化の課題を負ったイスラーム主義運動 - アルジェリア
  アラビア語化政策の矛盾
  FLNの腐敗・堕落と十月暴動
  FISの結成とヒッティストの登場
  イスラーム・コミューンの成立
  テロリズムのトラウマ
  イスラーム主義運動の挫折と新しい潮流の出現
第3章 ポスト・イスラーム主義
  ポスト・イスラーム主義とは何か
  イスラーム主義運動のナショナリズム志向
  政治空間における世俗主義の出現
  宗教的権威の大衆化
  宗教表明・宗教実践の個人化
  シャリーアの文化・生活規範化と宗教のエスニック化現象
第4章 ポスト・イスラーム主義時代のアル・カーイダ現象
  新しい「ムスリム集団」の誕生
  トランス・ナショナリズムの形成とジハードの国際化
  ビン・ラーディン第一世代とグローバル・テロリズムの始まり
  ビン・ラーディン第二世代と想像のウンマ
  ポスト・イスラーム主義の相反する二つの志向
第5章 ポスト・イスラーム主義から「アラブの春」へ
  イスラーム主義の理念性とイスラーム社会の現実
  イスラーム主義運動への失望
  ポスト・イスラーム主義の政治変容
  ジャスミン革命の背景
  「青年」「脱イデオロギー・脱宗教」「インターネット」
  アラブ・ナショナリズム精神の復活
  ポスト・イスラーム主義の申し子 「アラブの春」

コラム
  01 ベール問題
  02 ルクソール事件
  03 ティベリン修道師虐殺と「神々と男たち」
  04 タハリール広場の歴史

参考文献
図版出典一覧  
メッセージ・あとがき:
イスラーム教徒の考え方や行動の様式は,日本人の場合とはかなり異なっている。そこにイスラーム理解の難しさもあるし,同時にイスラームを知る意義もあるといえよう。現代の私たちは,グローバル化したイスラームの宗教や文明に向き合い,これをさらに深く理解する必要に迫られている。「イスラームを知る」シリーズは,全国的な共同研究「NIHU(人間文化研究機構)プログラムイスラーム地域研究」の成果であり,異文化理解へ向けて信頼ある案内役を果たしてくれるものと信じている。