恋する武士 闘う貴族

熱い恋心を抱く武士と力強く立ち上がった貴族、果たしてその顛末は?
価格
1,980円 (税込)
在庫: 在庫あり
解説: 一般的に「武士は戦い、貴族は恋をする」と考えてしまうが、人は誰でも抵抗もすれば恋もする。いつの世も時代を超えて、人びとは切ない想いとともに苦悩する。世俗への抵抗、暗殺の謀議、恋の復讐、密会現場の惨劇。これまで正史ではあまり語られることのなかった事実など、史料から新たな中世を描く話題作。
ISBN:
978-4-634-15074-4
著者: 関幸彦 
刊行:
2015年8月
仕様: 四六判  ・  400ページ
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目次:
はしがき
第Ⅰ部 恋する武士
 第一章 王朝武士の色とりどり
  (1)王朝武者の恋の系譜
   藤原保昌と和泉式部の恋事情/王朝武者の系譜/
   記憶のなかの平安武者 - 頼光伝説と酒呑童子/
   渡辺綱、道行きの劣情の戒め/余五将軍維茂の酒と恋の物語/
   対馬の在庁・長岑諸近の海を超えた愛/
   諸近の戦後、妻子をたずねて
  (2)内乱期、武士の恋模様
   源三位頼政と菖蒲御前/雪・月・花と武人西行の「阿漕の恋」/
   恋慕の結末、文覚と袈裟御前/滝口入道と横笛の「朽ちせぬ契り」/
   「花や散るらん」、遊女熊野への宗盛の温情/
   牡丹の中将重衡への「恋慕の想」/
   女々しさは罪か、平通盛の「埋火の恋」/王朝武士の記憶

 第二章 鎌倉武士の懸想
  (1)懸想の顚末
   混乱のなかの欲情、樋口兼光の罪と罰/
   恋は幻想か、佐藤忠信のつまずき/流浪の英雄義経の多情/
   鎌倉武士の横恋慕/梶原景時の雪冤/
   永遠の恋、曽我十郎と虎御前/曽我兄弟とその時代/
   「関東」の記憶/王朝への執心、鎌倉殿頼朝のもう一つの顔
  (2)色々の執心
   主従敵対、安達景盛の無念/
   「密懐」の惨劇、御家人吉田親清の復讐/
   仁田忠常への献身愛、妻女の誉れ - 信心は愛を超えたか -/
   牧ノ方と時政、夫唱婦随の見果てぬ夢/
   義時の死をめぐる点と線 - 色々の執心 -

 第三章 動乱期南北朝と修羅の恋
  (1)「偕老の契り」と修羅の諸相
   佐介貞俊の妻室と「偕老の契り」/淡河時治、妻女への愛しき遺言/
   怨霊となった修羅の情念 - 北国戦線の悲劇 -
  (2)武将たちの恋の深淵
   婆裟羅大名師直の邪恋/師直の真骨頂/
   佐々木信胤の南朝降参の裏事情、「恋は曲者」か/
   寝物語の罪、土岐頼春の回忠/
   勾当内侍への恋慕、新田義貞の京都の恋の物語/
   『太平記』と恋の下剋上/新田義興、少将局の情愛に救われる/
   油断…、遊女乗船の斯波氏経の失敗の本質/
   斯波一族と源家宝剣の行方  
第Ⅱ部 闘う貴族
 第四章 王朝貴族と闘いの諸相
  (1)左遷の貴族たち
   持てる貴族の悲劇、安和の変と源高明/
   「天慶の大乱ノ如シ」 - 安和の変の余波 -/
   殿上殴打事件の顚末 - 実方中将の挫折 -/
   実方中将のその後/悪霊の左府藤原顕光の入内闘争/
   中関白家の苦闘 - 伊周・隆家兄弟の左遷 -/
   折れない強さ、逆境の隆家と刀伊入寇/無頼派道雅の孤独な暴走
  (2)勝算なき誤算
   藤原師通と叡山との闘い/神仏の論理/
   悪左府頼長の誤算 - 保元の乱の裏事情 -/
   悪左府頼長の負の連鎖と保元の乱/
   院近臣藤原信頼の誤算と平治の乱/
   武門との連携 - 平治の乱前夜 -/
   平氏打倒への布石、院近臣成親の敗者のリベンジ/
   平家一門の事情と成親/京から鎌倉へ、鼓判官知康の口舌の闘い/
   懲りない知康の鎌倉下向/院政期の人間模様

 第五章 公武体制と王朝貴族たち
  (1)王朝貴族たちの選択
   大江広元の知られざる闘い/鎌倉吏僚たちのそれぞれ/
   王朝貴族一条能保の躍進/内乱期の王朝事情/
   「建久七年の政変」と土御門通親 - 王朝再建の闘い -/
   政変の裏側/治承・寿永の乱から承久の乱へ/
   承久合戦の敗者たち - 闘う貴族たちの諸相 -/
   伸るか反るか、西園寺公経の強運/五摂家と西園寺家
  (2)文人貴族、一所懸命の闘い方
   地下歌人、鴨長明の「世間」への抵抗/
   『海道記』源光行の自責と鎮魂の旅/
   芸術至上主義者定家の家運隆盛の闘い/
   鬱屈と屈折冷泉為相の「一所懸命」/
   細川荘伝領次第 - 定家から為相へ -/
   つれづれに時代を背負った兼好法師の強さ

 第六章 動乱期南北朝の貴族たち
  (1)「忠臣」公家たちの諸相
   歌人京極為兼の闘魂と二度の配流/鎌倉後期の皇統と両統迭立/
   行動派公卿、日野資朝の「かくこそあらまほしけれ」/
   日野俊基という悲劇/
   「後三房」たちの知られざる闘い、諫草する公卿たち/
   西園寺公宗の見果てぬ夢、天皇暗殺の謀議/日野一族の雪冤
  (2)闘う貴族たちの真骨頂
   干戈交えた貴族・北畠顕家の破天荒/
   婆裟羅的貴族千種忠顕の奮戦/
   革新と反動の間、「三木一草」のそれぞれ/
   武闘派公家たちの抵心 - 二条師基・四条隆資・洞院実世 -/
   カリスマの喪失と親房の戦略/
   北畠親房の孤高の闘い、常陸経略の日々/親房の戦略構想/
   闘う貴族の遺産

あとがき
参考文献