《新版世界各国史》1.日本史

価格
4,070円 (税込)
在庫: 在庫あり
解説: 原始から現代までの日本の歴史を,東アジア地域世界とのかかわりのなかで,時代の転換過程を明確にしながら,最新の研究成果をもとに記述する。
ISBN:
978-4-634-41310-8
シリーズ: 新版 世界各国史 1
著者: 宮地正人  白石太一郎  加藤友康  村井章介  高埜利彦 
刊行:
2008年2月
仕様: 四六判  ・  632ページ
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目次:
第一章 日本史のあけぼの
  1 日本列島の形成と旧石器文化
  2 縄文文化の成立と展開
  3 農耕社会の成立
  4 ヤマト政権の成立と展開
第二章 東アジアの国際関係と律令国家の形成
  1 隋唐帝国の成立と倭国・倭王権
  2 「大化改新」から壬申の乱へ
  3 律令国家の形成と古代の社会
  4 律令制の確立 
第三章 律令制の展開と古代国家の変容
  1 桓武の即位と新都の建設
  2 古代国家の動揺と承平・天慶の乱
  3 摂関政治体制の確立
  4 地方社会の変容と中世への胎動
第四章 権門の分立と「武者の世」
  1 権門の分立と荘園公領制
  2 武家政権の成立
  3 公武の衝突と連携
  4 蒙古襲来と社会矛盾
第五章 分裂・動乱と民衆の成長
  1 政局の分裂と混乱
  2 社会変動と地域の自立
  3 倭寇と「日本国王」
  4 民衆経済の発展と寄合の文化
第六章 戦国動乱から天下統一へ
  1 戦国大名の自立と権威志向
  2 豊臣政権と朝鮮侵略
  3 生産技術・労働編成の革新
  4 徳川政権と「鎖国」
第七章 近世の国家と社会
  1 幕藩体制の確立
  2 平和の到来-「元禄時代」
  3 流通の発展と文化の展開
  4 享保改革と田沼政権
第八章 近世社会の動揺と近づく近代
  1 飢饉・一揆と寛政改革
  2 揺らぐ「鎖国」の秩序
  3 花開く庶民文化と学問
  4 市場構造の変容と天保改革
第九章 天皇制国家の成立
  1 維新変革
  2 幕末維新期の社会と文化
  3 参加と統合
  4 帝国憲法システムと日清戦争
  5 国民文化の可能性と現実
第十章 大日本帝国と東アジア
  1 帝国主義強国への道
  2 帝国日本の経済と社会
  3 民主主義対国家主義
  4 十五年戦争
  5 文化の大衆化とファシズム
第十一章 敗戦から経済大国へ
  1 占領下の日本
  2 五五年体制の成立
  3 経済大国への道
  4 大衆社会とその文化
  5 米ソ対立後の日本と東アジア
終章 二十一世紀の日本の課題

付録
索引/年表/参考文献/天皇一覧/摂政・関白一覧/
鎌倉幕府将軍一覧/室町幕府将軍一覧/江戸幕府将軍一覧/
太政官官職一覧/歴代内閣一覧/写真所蔵・提供者一覧/図版出典一覧
 
メッセージ・あとがき:
まえがき
 『新版世界各国史』の執筆要領には,「最新の学界の研究成果にもとづき,先史時代から現代までを,正確に,客観的に記述した基本的な概説書とする」「政治史の展開を基本にすえながら,経済・社会・文化も重視した構成とする」とうたわれており,本書もこの基本線にそって執筆されている。とはいうものの,通史叙述の固有の性格として,最新の研究成果だとしても,そのまま記述に組み込むことが全体の記述の論理展開に整合させられないものの場合には,結局不可能となった。最新の研究成果と通史叙述の論理展開との兼合い如何は,やはり読者の批判をあおぐほかないと思っている。
 他方,通史叙述はあくまでも現時点に立っての過去の再構成という固定の特質を有している。この側面からみれば,過去の日本史通史での論理の運び方,史実の選択,そして事態の評価と相当異なっているものが多々あるだろう。この点についても,読者からの批判,執筆者の反論というかたちで,相違するようになった根拠を,第三者ひいては国民に明らかにしていくなかで,通史叙述の改善がはかられていると考えている。
 現時点からの通史叙述という観点に立って執筆者一同が共通して確認したことは,日本の歴史の流れを,あくまでも東アジア地域世界との関わりで記述していこうということであった。従来なら外交史のジャンルに押し込められてしまうこの分野を,たんなる一分野史ではなく,日本史を成立させている不可欠の構成要素としてきちんと先史時代から現時点まで押えていくことは,今日盛んにいわれるようになった「東アジア共同体」論を,たんなる流行語として消費してしまうのではなく,その内実=歴史性をしっかりと賦与するためにも,どうしても要求されていることなのである。ゆくゆくは,これまでの政治史・経済史・外交史といった分野史のよせあつめといったかたちで通史が構成されていくのではなく,それぞれの歴史段階に規定された地域世界論を前提として,東アジアの各国史が叙述されていくようになることを期待している。
 あとひとつ共通して心がけたことは,古代から中世,中世から近世,近世から近代,戦前から戦後という過渡期の記述問題を回避しないようにしたことである。複数執筆者による通史叙述の場合には,ややもすると輪切り型で,転化過程が明確に記述されにくくなる。その結果がうまくいったかどうかは,これまた読者の批判を待たなければならない。そして,この批判・反批判のなかでこそ,今まで両者ともにみえておらず,気がついていなかった理論的諸問題が明らかになることだろう。
 ただし執筆者の一人として不満のまま残ってしまったのは文化の記述問題である。執筆要領には「文化については,作品などを羅列するのではなく,各時代の文化の潮流や特質を重点的に記述する」となっており,私も含め執筆者一同,この要求にそうよう努めはしたが,十分とはいいがたい。それは一面では紙数不足の問題もあるが,他方では,各時代の特質を人間の歴史的営為のなかでもっとも大切な文化の側面から抽出する史学的方法論がいまだ確立していないという問題もあると思われる。通史叙述を意図する執筆者一同,今後の取り組むべき基本課題としてこの問題を位置づけることとしたい。
2007年8月                 宮地正人