《歴史のフロンティア》ドン・ジュアンの埋葬 モリエール『ドン・ジュアン』における歴史と社会

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2,990円 (税込)
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解説: 近代国家と市場経済システムが形成された17世紀、フランスに出現したたぐい稀なる傑作『ドン・ジュアン』。その歴史的意味を、現在の視点から鮮やかに読み解く。
ISBN:
978-4-634-48100-8
シリーズ: 歴史のフロンティア
著者: 水林章 
刊行:
1996年9月
仕様: 四六判  ・  368ページ
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目次:
序章 自分のなかに歴史を見いだす
 現在へのまなざし、現在からのまなざし
 1.妻の家族
 2.ポスト産業資本主義時代の家族と個人
第一章 『ドン・ジュアン』のコンテクスト
 モリエールのについての若干の考察
 1.絶対主義的宮廷国家とその
 2.近代国家と戦争像の転換
第二章 ドン・ジュアンとの構造
 1.何がどのように物語られるのか
 2.始まりの世界とドン・ジュアンの
 3.の世界の諸相 宗教・経済・政治
第三章 ドン・ジュアン、ディアボリック
 ドン・ジュアンと宗教
 1.ドン・ジュアンの「結婚」
 2.聖なるものの化身 貧者フランシスク
第四章 貨幣としてのドン・ジュアン
 ドン・ジュアンと経済
 1.贈与/反贈与モデルの解体
 2.貨幣、女、商品
第五章 にそむく者
 ドン・ジュアンと政治
 1.ドン・ルイの言説
 2.の運命
エピローグ-ドン・ジュアンの埋葬
あとがき

付録
索引/文献案内/本文引用資料出典一覧/図版引用一覧
 
メッセージ・あとがき:
ドン・ファン(フランス語ではドン・ジュアン)-かの有名な女たらしを主人公にしたモリエールの激越きわまりない戯曲が初演されたのは、1665年2月のパリにおいてであった。ルイ14世による絶対王制のさなかのことである。この途方もない作品をゆっくりと、そして何よりもていねいに読み解くことによって、私は、そこに近代国家と市場経済システムがまるで双子のように産み落とされた時代がどのように書き込まれているかを見届けたいと思った。しかし、注意してほしい、ここで過去と異邦に向けられるまなざしは、たんなる消費のための知的興味に発するそれではない。17世紀フランスに出現した『ドン・ジュアン』というたぐい稀なテクストをその歴史的地平において読む行為は、同時に、いま私が、そしてあなたがどのような歴史的地点に立っているのかを了解する作業にほかならないからである。