鴨長明伝

価格
1,980円 (税込)
在庫: 在庫あり
解説: 飢饉,大地震,京中の大火,「世の不思議」をたびたび体験し,書き記した長明は,五十の春を迎えて家を出る。時代の波に翻弄されつつも,身をもって時代に立ち向かった長明の精神性を,『方丈記』『無名抄』などの著作から読み解く。
ISBN:
978-4-634-15034-8
著者: 五味文彦 
刊行:
2013年2月
仕様: 四六判  ・  320ページ
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目次:
はじめに
Ⅰ 若き日々
 一 行く川の流れ - 鴨氏人の世界
   鴨の氏人/賀茂祭と賀茂行幸/院政期の下鴨社/
   下社禰宜の二つの流れ/長明の祖父・季継/
   鳥羽院政期の鴨社/父の禰宜長継/長明の生まれた年/
   生まれた時代
 二 糸竹・花月を友とせん - 若き頃
   父長継の動き/二条天皇の時代/長継主催の会/
   和歌の指南を勝命から受ける/琵琶を習う/
   詩文は誰に習ったか/鴨社への信仰
 三 よどみに浮かぶうたかたは - 歌人としての道
   みなし児・長明/歌林苑の会衆/志深き数奇人/俊成と清輔/
   歌会の有り様/山門の大衆と鴨社禰宜/女院の死と京中大火/
   長明が描く京の大火/仮名の文章
 四 世の乱るる瑞相 - 時代の転換
   清輔の死/俊成と兼実/激動の時代へ/辻風に襲われる/
   辻風の怪異/以仁王の乱と頼政の死/福原遷都/
   新都と故京都帰り

Ⅱ 和歌の道
 五 一つの庵をむすぶ - 新たな出発
   養和の飢饉/惨状を記す/飢饉の事実に迫る/新たな家/
   『月詣和歌集』の成立/『鴨長明集』の成立/俊恵に師事/
   歌の指南
 六 いみじき面目 - 『千載集』
   元暦の地震/大地震の実相/『方丈記』と『平家物語』/
   『千載集』の撰集/一首入る喜び/俊恵の後継者/
   『無名抄』の構成/俊恵の言説と長明の言説/新たな潮流
 七 二つの姿 - 近代古体
   六条若宮歌合/瀬見の小川/法皇の死と六百番歌合/
   有安の楽所預/長明の悩み/新たな展開/後鳥羽院政の開始/
   王の歌/九条家の復活

Ⅲ 奉公の勤め
 八 歌の事により北面に参り - 正治・建仁の頃
   石清水若宮歌合/御所での歌合/定家と長明/
   長明を推挙した人/正治第二度百首/長明の立場の歌/
   歌合の展開/新宮撰歌合/『三百六十番歌合』/三度目の百首歌
 九 御所に朝夕候し - 和歌所の寄人として
   和歌所の設置/八月十五日夜の撰歌合/寄人としての研鑽/
   九月十三日の和歌所当座歌会/勅撰集の撰集/珍しき御会/
   三体和歌の構想/寂蓮の死/撰集作業と歌会  
 十 家を出で、世を背けり - 大原山の雲
   通親の頓死/大内の花見/家を出で、世を背けり/
   大原への出奔/大原から/俊成九十の賀/
   『新古今和歌集』入集の喜び/雅経との交流/元久詩歌合

Ⅳ 庵から問う
 十一 出家を遂げて - 日野山の奥に
   都に生きる辛さ/前半生の総括/大原での出家/長明と琵琶/
   手習の行方/「秘曲尽くし」一件/末葉のやどり/
   方丈の庵の設計/日野の外山
 十二 閑居の気味 - 方丈の庵にて
   『無名抄』の成立/『無名抄』を執筆して/『無名抄』の構想/
   住宅論の展開/身体からの発想/隠遁の思想/
   三途の闇に向かって/次への出発
 十三 東国修行 - 鎌倉の世界
   鎌倉下向/『吾妻鏡』の問題点/建暦二年の鎌倉下り/
   東国修行の旅/入間川の洪水の難/長明と実朝/伊勢修行/
   『発心集』の成立/『古事談』と『発心集』
 十四 我が心のおろかなるを励まして - 『発心集』
   『発心集』の形成/『発心集』の構想/往生伝との関わり/
   高野山関係の話/同時代の話/近き比の話/近き世の人の話/
   死に臨んで/月に託した思い
おわりに
主な参考文献
鴨長明年譜