山川出版社
原宿のストリートからエシカルな文化を発信
エシカルとは
「倫理的な」「道徳的な」という意味の形容詞。
エシカルという大きな傘がある中に、フェアトレード、オーガニック、地産地消、地方創生、伝統工芸品、障害者の作られたものを積極的に購入する、動物福祉、などいろいろな消費のかたちが含まれている。

とても間口のひろい概念である分、みなさんにとってどこか突き刺さる入り口があるのではないだろうか。
エシカル
日本のど真ん中、原宿からエシカルを発信する
11月18日、『はじめてのエシカル』(末吉里花=著/山川出版社)が刊行した。
また、ほぼ同じタイミングで一般社団法人「エシカルタウン原宿」が誕生。
「運命的な使命感に引き寄せられ」一堂に会した4人が語る想いとは…
なぜ、いま「エシカル」が必要なのか
20世紀、とりわけ戦後の利益追求型の経済が行き過ぎてしまった「背景」がある。私たちは「お金がないと幸せになれない」と取り憑かれたかのように、今日まで来てしまった。経済はとても重要。だからこそ経済のあり方を問うために、お金の使い方やソーシャルな経済のかたちを見つけていくことが、エシカルの潮流の中から誕生している、と生駒さん(以下、I)。
地球の向かう先は絶対的に、食べ物も空気も水も自然も土地も、すべてが無限でなく有限。しかも目減りしている。そういう現実の中でエシカルはチャンスである、と龜石さん(以下、K)。
ファッションの聖地、原宿の可能性
まちづくりとしてエシカルタウン原宿を宣言しながら、しっかりとした姿勢を打ち出している企業やヒト、モノをつなげていきたい、と語るのは早川さん(以下、H)。幸運にも自身の敷地内に、理念への共鳴がつよいPatagoniaやEDWINが次々に新店舗をオープンしたという。エシカルの魅力の一つに「地方創生」「里山経済」といった地方から発信されることがあり、想像もしやすい。日本のカルチャー発信地・原宿からエシカルを発信することはとても新鮮。(I)
「KAWAII」ファッションはじめ、いまやSNSを通じて世界に文化を発信する原宿。ブランド化されている原宿だからこそ、日本流のエシカルをいかに発展できるかが期待される(H)。
エシカル
若き芸術家の活躍に象徴された、「エシカル×アート」
2015年、イギリスの建築家集団アセンブルが、スラム街の再生として地域の大工などを巻き込むプロジェクトでターナー賞を受賞した。こうしたソーシャルの意識をもった20代の若き集団が、社会に還元しながら雇用を創出しクリエイティブに昇華している。新しいアートの表現として認められたエシカルの一つの例である(I)。
世界における彼らの台頭は、すべてが有限であることを当たり前に分かってきている象徴といえるのではないだろうか(K)。
未来的な「エシカル×ビジネス」をひもとく
前述のようにエシカルは「倫理的な」「道徳的な」といわれるが、人それぞれに思う倫理や道徳がある。しかし、もっと掘り下げていくと、「生きる」ということが概念の前提となっていることがわかる。そして、いま求められているのは「可視化する」ことだ(K)。
もちろんデザインや値段で勝負をするのは大切だが、限りある資源の中においては頭打ちとなる。ここで、さらに広がりがあることを教えてくれたのが未開拓の領域、エシカルである。たとえば、3Dプリンターやレーザーカッターも「無駄なく作れる」エシカルといえる (I) 。
いま、私たちの「未来」にとって大切なとき
「未来」とは「予測」。それは人間の想像力を駆使して、論理的に洗練させ、時間の軸にのせてかたちにしていくことである。未来を考えるうえで避けては通れない社会の課題に本気で向き合って突きつめていくことがヒントになる(K)。ファッションの世界も少しずつ変わり始め、今まではありえなかったことが起こってきている(I)。
じつは日本人にとって身近な考え方
エシカルってなんだろう、とはじめに思う方は多いだろう。
無縁なところからきているのではなく、近江商人の「三方よし」の発想や、昔から日本人が大切にしてきた「思いやり」「おかげさま」「おたがいさま」「もったいない」の精神性とつながっているのがエシカルである。むずかしく考えず、日々のお買い物を通じて、環境や気候変動に関わる問題、貧困問題を解決する力になれるよということを楽しくお伝えしたい、と末吉さん。
「エシカル儲かる」=人生が豊かになる、という意味で私たちの足元をもう一度照らして考え直させてくれる面をもともと備えている(I)。



エシカルというチャンネルを持って世の中を見回してみると、すべての瞬間が気づきとなる。これもエシカルなのかなと疑問をもつことから、何かを考え、変えていくきっかけとなることが期待される。
一歩踏み出すにしても、まずは知ることから。
エシカル




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末吉里花Rika Sueyoshi
一般社団法人エシカル協会代表理事/フリーアナウンサー。「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンターとして世界各地を旅するなかフェアトレードに出会い、活動をはじめて11年。昨年11月、著書『はじめてのエシカル―人、自然、未来にやさしい暮らしかた』(山川出版社)を刊行。
生駒芳子Yoshiko Ikoma
ファッションジャーナリスト/アートプロデューサー。『マリ・クレール』日本版編集長を務めていた90年代後半、ちょうど肌で地球環境の変化を感じ始めたころ、エシカルと出会う。現在、伝統工芸の開発プロジェクトにも精力的に取り組む。
龜石太夏匡Takamasa Kameishi
株式会社リバースプロジェクト代表取締役社長。リーマンショック後に伊勢谷友介氏とともに立ち上げ、「人類が地球に生き残るためにはどうするべきか」という理念のもと活動を遂行するなか、エシカルと出会う。『社会彫刻』(伊勢谷友介=著/朝日新聞出版)では同社の活動を綴る。
早川千秋Chiaki Hayakawa
株式会社ハイパーハイパー代表取締役社長。「地球に命を与える」というネーミングで誕生したブランド「GIVELIFE」を原宿の街で25年間店舗を構え続けるなど、ファッション界を牽引。昨年10月、「エシカルタウン原宿」をリバースプロジェクトと共に設立。